絵巻物で読む 伊勢物語 |
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むかし、男、梅壺より雨にぬれて、人のまかりいづるを見て、 うぐひすの花を縫ふてふ笠もがなぬるめる人に着せてかへさむ 返し、 うぐひすの花を縫ふてふ笠はいなおもひをつけよほしてかへさむ (文の現代語訳) 昔、ある男が、梅壺から雨に濡れながら人が出て行くのをみて、次のように歌った 鶯の花を縫って作ったという傘があるといいですね、濡れている人に着せて返してやりたい 返事の歌 鶯の花で縫ったという傘はいりません、それよりあなたの熱い思いを下さい、その思いで濡れた衣を干して、お返ししますから (文の解説) ●梅壺:宮中にある殿舎のひとつ、凝華舎、中庭(壺と言う)に梅が植えられていたことから梅壺と呼ばれた、●縫ふてふ:縫うという、●もがな:欲しい、●ぬるめる:濡れているらしい、●いな:いりません、●おもひをつけよ:思いをかけてください (絵の解説) この絵は、文の趣旨と一致していないように見える、中庭に梅がえがかれているものの、肝心の雨が降っていない。また文章からは男女のやり取りのようにも思えるが、この絵では男同士が向かい合っている |
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