絵巻物で読む 伊勢物語 |
HOME|ブログ本館|日本語と日本文化|日本の美術|万葉集|美術批評|東京を描く|プロフィール|掲示板 |
むかし、帝、住吉に行幸したまひけり。 われ見ても久しくなりぬ住吉のきしの姫松いくよ経ぬらむ おほん神、げぎやうしたまひて、 むつましと君はしら浪みづがきの久しき世よりいはひそめてき (文の現代語訳) 昔、天皇が住吉に行幸なされた。その時におつくりになった歌。 私が以前見て以来久しくなった、その住吉の岸の姫松はどのくらいの世を経たのであろうか すると住吉の神が姿を現しになって、次のように歌われた。 わたしがあなたをむつましく思っているのを、あなたはご存じないでしょうが、久しい昔からあなたを祝福してきたのですよ (文の解説) ●帝:どの天皇かは不詳、●住吉:大阪住吉神社のあるところ、古くは「すみのえ」と呼んだようである、●おほん神:神社の神体、げぎやう:現形、姿を現すこと、●むつまし:親しい、●しら浪、白波と知らないをかけている、●みずがきの:「久しき」の枕詞、 (絵の解説) 住吉神社に帝の一行が行幸する様子を描く (付記) 古今集に詠み人知らずとして、「住吉の岸の姫松人ならばいく世か経しと言はましものを」とあり、この段はこの古歌を踏まえた創作だろうと考えられている。 |
HOME|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2014-2015 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |