絵巻物で読む 伊勢物語 |
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むかし、陸奥の国にて男女すみけり。男、みやこへいなむ、といふ。この女いとかなしうて、馬のはなむけをだにせむとて、おきのゐて都島といふ所にて、酒飲ませてよめる。 おきのゐて身を焼くよりも悲しきはみやこしまべの別れなりけり (文の現代語訳) 昔、陸奥の国に一組の男女が住んでいた。男の方が都に帰る、と言い出した。女のほうは大変悲しくて、せめて送別の宴だけでもしたいと思い、都島というところで、酒宴を開き、次のような歌を読んだ。 自分の身を焼くより悲しいのは、この都島の別れでありますことよ (文の解説) ●いなむ:去ろう、帰ろう、●馬のはなむけ:送別の宴、●おきのゐて:語義不詳、都島と身の両方にかかっているところから、「み」の枕詞と思われる、 (絵の解説) 川の中州の島辺で、女が男のために、送別の宴を催しているところを描く。 (付記) 都の官人が地方に赴任して、地元の女と結ばれた場合には、帰京に際して女を伴うことができなかった。そこで、このような話が生まれるわけである。 |
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