絵巻物で読む 伊勢物語 |
HOME|ブログ本館|日本語と日本文化|日本の美術|万葉集|美術批評|東京を描く|プロフィール|掲示板 |
むかし、をとこ、親王たちの逍遥したまふ所にまうでて、龍田河のほとりにて、 ちはやぶる神代も聞かず龍田河からくれなゐに水くくるとは (文の現代語訳) 昔、ある男が、親王たちのそぞろ歩きをして楽しんでおられるところに参上して、紅葉の名所龍田側の畔で次のような歌を読んだ。 ちはやぶる神代にもこんなことがあったとは聞いておりません、この川の水を唐紅色に括り染めにしたとは (文の解説) ●逍遥:そぞろ歩き、●龍田河:大和の国を流れる生駒川の上流、紅葉の名所、●ちはやぶる:神の枕詞、●からくれなゐ:唐より到来の紅の染料、●くくる:括り染めにする、しぼり染めにする (絵の解説) 鮮やかな紅葉が降り敷く龍田川のほとりをそぞろ歩きする人々 (付記) 紅葉が色鮮やかに川面を埋めたさまを、川の水が唐紅にくくり染めにされたと、洒落て歌っているのであろう。この歌は、古今集にも、二条の后のもとの屏風絵に書かれた龍田川を題にして、業平朝臣が歌ったということにされている。 |
HOME|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2014-2015 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |